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研修医の声

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2024年 H先生より

 足寄での地域研修を終えて

 この度は1ヶ月間、地域研修を受け入れてくださり誠にありがとうございました。

普段とは全く異なる環境で研修することで、改めて自分の研修医としての課題を見つめ直す機会も多く、大変充実した研修となりました。

普段は十勝の3次医療まで担う急性期病院、つまり足寄をはじめ近隣地域からの急性疾患の患者を受け入れる立場である病院で研修しています。時には受け入れる中で、どうしてこの検査をしていないのだろう、どうしてこの状況になるまで転院してこなかったのだろうと研修医ながら疑問に思う場面も少なくありませんでした。しかし、それは十二分に恵まれた環境で働いているからこそ思うことであったと、地域研修をする中で自分の今までの未熟な考えに気付かされることが多々ありました。限られた医療資源の中で今できる検査は何か、診断後はどこまでここで治療することができるのか、転院のタイミングはいつか、いつもより少ないヒントから丁寧に診断に繋げていき、その後の治療方針まで一つ一つ自分で考えながら進めていく。当たり前のことですが今までは恵まれた環境と手厚い指導に甘えながらやってきていたことを、一人の医師として責任を持って全うさせていただいたことは研修医として本当に貴重な経験となりました。

また、訪問診療に同行させていただいたことも医師になってからは初めてでした。通院が難しく、自宅でも様々な問題や不便さを抱えながら過ごしている中でも、自宅で過ごしている方は心なしか穏やかで安心した表情をしているように見えました。また他職種とのカンファレンスにも何度も参加させていただきました。様々な職種が関わり、病院の枠を越えた地域全体の協力の元で、地域で安心して過ごすためのサポートがあり地域医療が成り立っているのだと実感しました。

また町内視察として足寄らしさを感じる各所を巡る機会をいただきました。市街地を抜けると広大な放牧場と畑が広がっており、足寄の雄大さと魅力を存分に味わわせていただきました。

指導医の先生をはじめスタッフの皆様はとても暖かく迎え入れてくださり、外来など一人で任せていただきながらもいつでも相談できる環境が整っていたので安心して診療に当たることができ、充実した研修となったことを大変感謝しております。末筆ながら皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

 


2024年 N先生より

この度は1ヶ月間にわたる地域研修を受け入れていただき、誠にありがとうございました。短い期間ではありましたが、自身の成長に繋がる非常に充実した研修となりました。学生時代に地域実習として2週間、足寄で実習をさせていただいた際の好印象から、研修医になったら再び足寄で研修を行いたいと願っていました。今回その願いが叶い、大変楽しみに研修に臨みました。

足寄での研修の最大の特徴は、一人の医師としての役割を求められる点です。研修医1年目は3次救急病院での研修でしたので、患者さんに対して複数人で対応することが常でした。「守られた」環境ではありましたが、一人で責任を持って診断や治療を行う機会が少なく、専攻医になった際にやっていけるのだろうかという不安がありました。しかし、足寄では一人の医師として診断や治療を考えることができ、時には救急患者の転院搬送の判断や入院の判断を自身で行う機会もありました。それでも、一人任せにされることはなく、院長先生をはじめ常勤の先生方に非常に相談しやすい環境でした。

救急患者の中でも、急性腹症の診断に苦慮することが多いと思いますが、足寄には消化器専門の先生が2人おり、多くの相談に乗っていただきました。また、都市部では中々遭遇しないダニ咬傷の頻度も高く、対処法を学ぶことができました。外傷の縫合処置の機会も多く、本当に様々なことを学ぶことができた研修となりました。一人の医師として責任を持った判断を、手厚いバックアップの中で行えることは、足寄での研修の最大の魅力と感じました。

多くのコメディカルの方々にも助けられました。大病院とは異なり、スタッフ一人一人との距離が近く、その専門性に助けられる場面が多々ありました。外来や病棟で常に助けていただいた看護師さん、夜中にも関わらず迅速に検査を行ってくださった技師さん、入院中の患者さんの状態を細かく把握し、退院に向けた方針を助言してくださったリハビリ科の方々など、多くの方々にお世話になりました。

また、外来や入院診療を通じて、足寄に住む方々の地元愛を感じる場面が多々ありました。病態としては高次医療機関に転院搬送することも可能な場面でも、「最期は足寄でお願いします」とのご家族の言葉があり、人生をどのように生き抜くかについて考えさせられました。そして、この病院が地元の人々にどれほど必要とされているかを実感しました。入院中に担当した患者さんに「先生に全部任せるのでよろしくお願いします」と仰ってくださる方もおり、そのように頼っていただく中で医師としての責任感を強く感じました。1ヶ月間の研修期間が終わり、担当を外れることは後ろ髪を引かれる思いでした。

足寄での研修は時に忙しく、落ち着いている時は自分のために時間を使える、まさに最適な環境でした。当直室もビジネスホテルのように快適で、検食も非常に美味しかったです。また、地域研修の一環として事務長に足寄町内を案内していただく機会もありました。足寄は広大で自然豊かな土地であり、地元の名産品もご馳走になりました。放牧牧場の眺めは心が洗われるような体験でした。適度にのんびりと過ごしつつ、一人の医師としての研鑽を積みたい方には最適な環境であり、充実した地域研修を希望する方には是非足寄をお勧めします。

末筆となりますが、手取り足取り指導してくださり、時に救急患者を夜中まで一緒に診察してくださった院長先生に深く感謝申し上げます。この度は素晴らしい研修環境を用意していただき誠にありがとうございました。皆さまのご健勝と益々のご発展をお祈り申し上げます。

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2025年 A先生より

 この度は、約2か月間にわたり地域研修の機会をいただき、誠にありがとうございました。私は普段、栃木県の大学病院で研修を行っておりますが、今回、初めて十勝・足寄町を訪れ、果てしなく広がる大空と大地の中で、地域医療の本質に触れる貴重な経験をさせていただきました。

研修期間中は、内科外来や救急外来をはじめ、病棟診療、訪問診療、健康診断など、多岐にわたる診療に携わらせていただきました。中でも印象的だったのは、訪問診療で出会った患者さんが体調を崩して救急外来を受診し、そのまま入院、治療を経て再び自宅へ退院されるまでの一連の流れを、主治医として一貫して担当させていただいたことです。全体を俯瞰しながら一人の患者さんの診療にあたることは、診療科や職種ごとに役割が細分化された大学病院では経験することのできないことであり、大変有意義な経験となりました。

足寄町は、基幹病院のある帯広市から約65km離れた場所に位置し、限られた医療資源の中で「今、ここで何ができるか」という問いに常に向き合う必要があります。地域唯一の有床医療機関として、まずは全ての患者さんを受け入れる体制が求められ、外来での経過観察か入院か、あるいは高次医療機関への搬送か、といった判断にも、地域特有の背景を踏まえた判断が求められました。そのような環境下でも、経験豊富な先生方に随時ご指導いただくことができ、安心して診療に臨むことができました。充実したサポート体制のもと、一人の医師として責任ある判断を行える環境が整っていることは、患者さんにとって大きな安心であると同時に、地域研修に臨む初期研修医にとっても非常に魅力的だと感じています。

また、看護師さん、薬剤師さん、検査技師さん、リハビリスタッフの方々、事務スタッフの方々など、多職種の皆様との距離の近さも、当院ならではの魅力だと感じました。診療の合間に交わした何気ない会話の中にも多くの気づきや学びがありました。医療・介護・保健・福祉が密に連携し、患者さんの「暮らし」そのものを支える様子を目の当たりにし、限られた資源の中だからこそ実現できる豊かさがあることを知りました。患者さんやご家族との会話の中で、「足寄で診てもらえて嬉しい」「ここで最期を迎えたい」といった言葉を耳にするたびに、医療とは単なる技術や知識の提供ではなく、その人の生き方に寄り添う営みであることを実感しました。

最後になりますが、親身にご指導いただいた先生方をはじめ、温かく迎えてくださったすべてのスタッフの皆様、そして足寄町民の皆様に、心より感謝申し上げます。足寄での経験を糧に、患者さん一人ひとりに寄り添える医師を目指し、今後も研鑽を積んでまいります。皆様のご健勝と今後のご発展を、心よりお祈り申し上げます。

 

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足寄町国民健康保険病院総務担当

電話番号
0156-25-2155

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