足寄動物化石博物館は足寄で出土した多くの化石を収集しています。絶滅した海洋哺乳類や、様々な種のクジラの骨格標本 などが展示されています。館内では「ミニ発掘」などの体験メニューがあり、子どもから大人まで、家族で楽しく学べる魅力的な博物館です。
先史時代の海洋哺乳類
足寄動物化石博物館の見どころに、絶滅した海洋哺乳類であるアショロア・ラティコスタ (Ashoroa laticosta) とベヘモトプス・カツイエイ (Behemotops katsuiei) の化石などがあります。この2種類の化石は、それぞれ1976年と 1980年に足寄で発見されたものです。これらの動物は「束柱目」 に属しており、太い脚のあるカバのような生き物です。漸新世 (3400~2300万年前) の後期に生息していました。カリフォルニアの海岸で見つかった束柱目の化石は、北海道の一部と北米がかつては物理的につながっていたという強力な証拠です。
北海道の北にある樺太島では、1933年、世界で最初にデスモスチルス・ヘスペルス (Desmostylus hesperus) の全身骨格が発見されました。デスモスチルス・ヘスペルスは、アショロア・ラティコスタとベヘモトプス・カツイエイに近い種です。デスモスチルス・ヘスペルスは水生の動物で、中新世 (2300~1000万年前) の初期から中期に生息していました。足寄動物化石博物館が所蔵するデスモスチルス・ヘスペルスの化石のレプリカの数は世界最大級です。博物館を訪れた人は、アショロア・ラティコスタ、ベヘモトプス・カツイエイ、デスモスチルス・ヘスペルスの化石のレプリカが並んでいるのを見てそれらを比較するという、稀な機会が得られます。
クジラ、過去と現在
この博物館はクジラの骨格標本と化石を多く収集しており、先史時代のクジラの進化が分かります。初期の化石の研究から示唆されるのは、最初に現れたクジラにはすべて現代のマッコウクジラやイルカやシャチのように歯があったということです。
先史時代のクジラの中には、歯がなくなり「クジラヒゲ」を備えるようになった種があります。クジラのヒゲは上あごから垂れ下がったブラシの毛のようなもので、オキアミなどの小さな獲物を水から濾し取ります。足寄で発見されたクジラの頭蓋骨の古い化石では、その口に歯とヒゲの両方があるように見え「歯のあるヒゲクジラ」として知られています。この化石は、クジラの進化において重要なものです。
この博物館の中心にある展示の特徴は、北海道近海に生息している現代のクジラの骨格標本です。ミンククジラ、コククジラ、ツチクジラ、マッコウクジラ、シャチ、ネズミイルカなどの標本があります。
オンネトー湯の滝の展示
オンネトー湯の滝は温泉が流れる滝で、ここから近い阿寒摩周国立公園内にあります。この滝は、地球で唯一マンガン酸化物が自然に生成するのを地上で観察できる場所です。この博物館では、マンガン鉱を含む岩や、オンネトー湯の滝で1日に生成するマンガン酸化物の量などを見やすく展示しています。 マンガン酸化物は鉄鋼や乾電池の製造に使われる重要な金属化合物です。
様々な体験メニュー
ミニ発掘体験やなど様々な体験メニューがあります。※新型コロナウイルス感染症に伴い一部の体験メニューが中止や変更となっている場合があります。
所在地・お問合せ先
住所 足寄町郊南1丁目
電話 0156-25-9100