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足寄物語~Ashoro Stories その1 「足寄ハスカップ園」

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足寄の市街地から国道241号を郊外へと向かい、車を10分程走らせると高台を下る長い坂道となり、その坂がひと段落すると左手の林の隙間から湖が見え隠れしてくる。1955年に完成した人口湖「足寄湖」だ。更に国道を少し進むと左手に看板が。「Hascup Garden」と書かれている。

その看板から石の門を通って木々のトンネルをくぐり足寄湖の方へ下るとまるでヨーロッパの湖水地方を思わせる景観が迎えてくれた。

ここは「足寄ハスカップ園」。敷地面積およそ2.4ヘクタールの土地に「ハスカップ」を中心に「カシス」「ブルーベリー」を栽培。そこにオーナー自らが手掛けたヨーロッパ調のマナーハウスが建ち、その周りを奥様が手入れする草花がとり囲みます。

そもそもオーナーがこのハスカップ園のアイディアを手に入れたのは25年前。旅行で訪れたアメリカ・シアトルの郊外にあるオーガニックファーム「カスケイディアン・ファーム」に立ち寄った事がきっかけで「これを北海道でやってみたい!」と夢を持ったのが始まりである。

そこから土地探しが始まり、足寄を中心に2年程道内を探した結果、最後に辿り着いたのが足寄町中矢足寄湖のほとりだった。

 

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「この景観に負けない家をつくろうと思ったんだわ」

そう話すのは「足寄ハスカップ園」のオーナーである「上谷祐弘(かみやさちひろ)」。

しかしそもそも上谷は自身で家をつくろうなどとは思っていなかった。理想の土地を見つけた上谷は

建築家に相談を試みるも「金はあるのか?」との問いに「ない」と答えると「あきらめろ」と追い返されている。しかし富山で生まれ30歳を過ぎて北海道に渡った後、紆余曲折の末36年前に足寄に移り住み、苦労に苦労を重ねてきた上谷は「あきらめろって言われたら尚更もう・・・。」

建築家の一言で生来の負けん気に火がつき、自ら家を建てることを決意。ある雑誌に載っていたイギリスのマナーハウスを参考に家づくりをスタートさせた。まずは木材を手に入れるところから始めたのだが、町外にナラ材を買い付けに行った際、そのナラ材が足寄産の木材である事を知り、それならばと町内の木材業者に相談を持ち掛けると頑丈なナラ材を安く手に入れることが出来た。なんと大型車25台分。

製材だけで3年の月日を費やした。その後もコツコツコツコツ、ハスカップ畑や庭づくりと並行して家づくりを進め、ついに2021年5月、上谷は奥様と一緒にこの家に引っ越す事が出来た。

「家をつくろう」と思いたった47歳の上谷は67歳になっていた。

上谷のつくった家は「夢」と「理想」と「負けん気」と「だまして連れて来たんだ・・・」という奥様への「愛」で出来ている。

20年という歳月を注ぎ込み上谷のハスカップ園のシンボルとなったこの家は、本人曰く「参考にしたイギリスの家より自分でやったこの家の方が良くなった気がするよ」とうそぶき、住み心地を尋ねると「そりゃ気分いいよぉ はっはっはっは!」と豪快に笑った。

 

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上谷が心血を注いでつくった家の周りには石が積まれ、奥様「晴子(せいこ)」さんによる季節の草花が楽しめるガーデンが広がり、ハスカップ畑へと続いている。

ハスカップが獲れる7月と8月わずか2か月あまりの開園だが「足寄ハスカップ園」はいつも誰か彼かが集っている。訪れる人の多くは町内外からのリピーターでこの美しい景観と上谷夫妻の人柄を慕って再訪し、丹精込めて作られたハスカップやブルーベリーを摘み、ひとしきりお喋りをして帰路に就く。

上谷は「皆さん豊かさを感じたくて来るんだと思うよ。豊かさは人によって違うけどその人にとっての豊かさを感じてもらえる場になればいいなと思うんだ」と話し、さらに「ここは色んな人が来るから楽しいですよ。やっぱりたくさんの人に来てほしい。来てくれれば色々な話しの糸口ができるから。

自分で会いに行くのは大変だけど、ここには皆来てくれる。自分にはない情報が入ってくるってことは今までにはなかった事だからね。」

 

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上谷には一つの考えがある。「生意気言わせてもらうけどさ。景色が綺麗なだけではダメだと思っていてそこに建造物があるからこそ人の気持ちが動き、集うと思うんだ。ま、それでこんな事になっちゃったのさ。(笑)」

「継続は力なり。進めば近づく。まあ俺の場合かなり強引だわな・・・。」

真っ黒に日焼けした上谷は一見強面だがやさしく丁寧に人と話してくれる。

ちなみに「だまして連れて来た」奥様は美人である編集者注1。2人に会いに、あの景色を愛でに、「足寄ハスカップ園」にまた行こうと思った。

 

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「足寄ハスカップ園」 北海道足寄郡足寄町中矢758番地1 (0156)25-3754

毎年7月から8月中旬頃までの開園。(ハスカップのシーズン終了まで)

 

【注釈】

編集者注1 「だまして連れて来た」については本文2段落目下部参照。容姿についてはあくまでも筆者の個人的な感想です。

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