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足寄物語~Ashoro Stories その11 あしょろ銘店探訪#3 「寳龍足寄店」&「かくれん坊」

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足寄のおいしいお店のレコメンドカード「あしょろ銘店発掘PROJECT」に参加するお店を紹介する

「あしょろ銘店探訪」シリーズも今回が3回目。これまで蕎麦の「丸三真鍋」、焼肉の「なんだてい」を探訪したが、さあ今回はどこのカードを引き当てるのか!日に日に激化する老眼との戦いを一旦休戦し、目をつむって「おりゃ!」とカードを引くとそこに出たのはPROJECT No.13「寳龍足寄店」だった。

 

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以前にもここで書いたが足寄でラーメンというと足寄っ子のソウルラーメン「あさの食堂」だった。

足寄に生まれ育ち、あさののラーメンを食べた事のない人はほとんどいないであろう。そして他にもラーメンを食べさせてくれるお店はあったが、ラーメン専門店ではなくいわゆる町の食堂だった。

「権平」「大判食堂」ちょっとマニアックだと芽登にあった「ほてい屋」。夜の締めは「春駒」だ。

足寄出身でそう若くもない人なら(!?)「あった!あった!」とそうなるはずだ。そんな食堂ラーメンの町足寄に1983年夏、黒船が到来する。札幌・すすきのに総本店を構えるラーメン店「寳龍(ほうりゅう)」だ。味も脂も濃くパンチの効いたサッポロラーメンはあっさりの食堂ラーメンに慣れていた足寄町民の舌と心をアッと言う間に鷲掴みにした。

 

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1983年、本別や上士幌方面から足寄に入るとすぐのところに「寳龍足寄店」は開店した。

お店を開いたのは、「庄司富男(しょうじとみお)悦子(えつこ)」夫妻。元々「足寄貨物」で運転手をしていた富男は、「寳龍」の中でもいち早く十勝にお目見えした「清水店」によく寄ってラーメンを食べていた。そんな常連客に対し店長がこう焚きつけた「ラーメンは儲かるからやってみれ!」。

この「儲かる」というめくるめくワードが富男をその気にさせ、足寄店を開く事を決意させるのにそう時間はかからなかった。とは言え、飲食業など一度もやった事がなかった富男は当時、東京のパスタ店で働いていた息子を呼び戻した。それが現在の2代目「庄司幸男(しょうじゆきお)」だ。足寄高校を卒業し3年程働いた幸男は、パスタなどを食べさせる店に憧れ、22歳の時にバッグ一つで上京した。

なんのアテもなかった。取りあえず1か月間、喫茶学校に通い、その学校のボロボロの寮に身を寄せつつ、働く店を探し当てた。それから3年後、東京に未練を残しつつも足寄に戻り、両親と妹さんと共にラーメン屋という未知の世界に飛び込んだのだ。

 

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「ラーメンは儲かる」という殺し文句で始めた「寳龍足寄店」は確かに儲かったそうだ。

初代は2店舗目「寳龍上士幌店」を開き、足寄店も1992年に現在の黄色い店舗に建て替えを行った。

この間に2代目は8歳年下の「ひとみ」と結婚。彼女も店に立った。ちなみにひとみさんは高校生の頃、部活帰りに開店したばかりの「寳龍」にラーメンを食べに来ていたそうだ。まさかその何年後かに自分がそこでラーメンを作っているとは思いもしなかったろう。実はそんな彼女は今、「寳龍」の2階でパスタやピザを中心としたお店「かくれん坊」を担当している。この「かくれん坊」も、もちろん「あしょろ銘店PROJECT」に名を連ねる銘店の一つだ。

 

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1997年にオープンした「かくれん坊」。おいしいパスタが味わえるお店だが、実はこの店には2代目の想いがギュッと詰まっている。

思い出してほしい。2代目が上京したのはパスタやピザなどを出す店をやりたかったから。働いたお店もパスタ屋さん。世田谷区の経堂にあったお店だ。店の名は「かくれん坊」。北海道の片田舎から出てきた若者を受け入れ仕事を教えてくれた東京の「かくれん坊」は2代目にとってわずか3年だったが、「夢」の在りかだった。だからその名前をもらった「かくれん坊」には格別の思い入れがある。

「もうやめてもいいかなとも思うんだけど、やめるにやめれないのさ。なんだか寂しい気がしてさ。」2代目は照れくさそうにそう言うと窓の外に目をやった。真冬の足寄の空は隅々まで十勝晴れの空だった。

 

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あしょろ銘店PROJECT No.12「かくれん坊」はおすすめのパスタを中心に豊富なメニューが揃う。

パスタはトマトソース、ホワイトソース、ミートソースにクリームソース、和風は醤油味と塩味、そしてケチャップと20種類以上を味わえる。この日、ひとみさんがおすすめしてくれたのはシーフードと野菜の和風パスタその名も「お嬢」。このネーミングがいかにも70’s、80’s感を醸し出す。

「イカ」「エビ」に「あさり」がゴロゴロッと入った醬油味のパスタは絶妙な茹で加減でアッと言う間に胃袋に収まった。パスタの他にはピザやハンバーグ、定食的なセットメニューもあり、仲間同士でもご家族でも満足する事は間違いない。

 

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さて、2代目と共に「寳龍」を切り盛りしていたひとみさんがどうして現在「かくれん坊」を担当しているのかというと「寳龍」には立派な跡継ぎ、3代目がいるからだ。

「庄司智哉(しょうじともや)」、3人兄弟の末っ子が家業を継いだ。3代目に「どうして継ごうと思った?」と問うと、ぼそぼそっと「うーん。成り行きと言いますかぁ・・・。」ん?成り行き? 実は彼、8年前に大学卒業を目前にしてあっさりと辞め、足寄に戻ってきたという。大学を辞めたのはともかく、足寄に戻ったのはなぜなのだろう?「うーん。アテもないし、金もないし・・・。」どうやら成り行きというのはホントのようだ。

とまあマイペースに見える3代目だが、お店に立つとその背筋はピンと伸び、軽快に鍋を振り、ギョーザも器用に美しく包む。店を継いで会社組織にし名刺には「代表取締役」の肩書が。更に名刺を裏返すと「足寄町商工会青年部副部長」と書かれている。足寄町の若手経営者のエースなのだ。どうやら根掘り葉掘り質問を浴びせかける怪しいおじさんを警戒し爪を隠したようだ。そんな頑張る3代目だが、惜しむらくはまだパートナーがいない事。もうそろそろ良いお相手を見つけて4代目の顔を見せてほしいものだ。

 

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北海道を中心に全国にチェーン展開する「寳龍」。さぞかし決まり事が厳しいのかと思っていたらそうでもないらしい。チェーンの決まりとしてラーメンの「タレ」と「麺」は指定のものを使わなければいけないが、あとはそれぞれの店舗で自由にメニューを考案することが許されている。スープも基本のレシピはあるものの、アレンジしても構わないのだそうだ。

「寳龍足寄店」はと言うと、「1983年の開店以来なんにも変えてない。」と2代目。「面倒臭いから特別な事はしない」のだそうだ。と言いつつ「スープカレーラー麺」や「チャーメン」など独自のメニューもちゃんと考案している。

この日は銘店カードにも掲載されている「ねぎラーメン」に挑戦してみた。目の前に置かれた熱々のねぎラーメン。白髪ネギの白と小葱の緑が見た目にも美しい。加えて香ばしいネギの香り。その正体はネギ油で自家製だそうだ。まずはその香りを楽しみ、続いてこんもりと盛り付けられた白髪ネギをスープに浸し熱を通す。そして麺と共に一気にズズズーッとやると、シャキシャキの白髪ネギ、プチプチの小葱、そしてネギの中心部分は熱でトローッとなり、「ネギ」の3つの味と食感を一度に味わえる。なんという至福のひと時だろう。

銘店カードには「この香り、歯ごたえ。ネギ好きで良かった。」とコピーが書いてあるが、ホントに「ネギ好きで良かった。」とそう思った。

 

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「こんなに長続きするとは思ってなかった。5~6年もやれば目いっぱいかなって。」2代目がそう思っていた「寳龍足寄店」は、来年の夏で創業から40年を迎える。運転手だった初代が「儲かるぞ」という一言を信じ創業したお店。父に頼られ帰ってきた2代目が夫婦で助け合い続けてきたお店。3代目が「成り行きで」継いだお店は、少しづつ変わりながら「変わらない事」を守っている。

ところで「成り行き」という言葉を辞書で引くとその意味はこうだ。

「物事が次第に変化していくようすや過程。また、その結果。」3代目「成り行きで」は間違ってないよ。

 

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「あしょろ銘店発掘プロジェクト No.13『寳龍足寄店』」

足寄町南7条1丁目 (0156)25-2736  営業時間 10:30~20:00 月曜休

足寄寳龍三代目インスタグラムアカウント @3daime_ashoro_horyu

 

「あしょろ銘店発掘プロジェクト No.12『かくれん坊』」

足寄町南7条1丁目 (0156)25-2837  営業時間 11:30~21:30 月曜休

 

※ お店の情報は2022年2月現在の情報です。(新型コロナの状況により変更あり)

このページの情報に関するお問い合わせ

足寄町役場 経済課商工観光振興室商工観光・エネルギー担当

電話番号
0156-28-3863(直通)

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